最近、世界的なニュースをきっかけに株式市場が大きく下落し、「日本株がまたドーンと下がった…」と不安になった方も多いのではないでしょうか。
特に45歳以上で投資初心者〜中級者の方は、老後資産形成の途中でこんな暴落に直面すると、「今は株を売ったほうがいいのか、それとも買い時なのか…」と戸惑ってしまいますよね。
下落相場はピンチではなくチャンス
しかし、株価の下落は必ずしもピンチではありません。
伝説的な投資家ウォーレン・バフェットも「他人が恐れている時こそ貪欲に買え」と言っています。暴落相場こそ優良株を安く仕込むチャンスなのです。
慌てて感情的に売却するのではなく、冷静に戦略を立てて行動することが大切です。
配当金を安定して出す高配当株なら株価が一時下がっても保有中にリターンを得られるので安心感がありますし、長期の資産形成にはNISAなどの非課税制度を活用することで効率的に資産を増やすこともできます。
本記事では、そんな荒れた相場でこそ注目したい日本株の厳選7銘柄を紹介します。
単なる銘柄の羅列ではなく、以下の4つのテーマに分けて「なぜ今その銘柄なのか」を解説しますので、初心者の方にとっても投資の勉強になるはずです。老後の安心につながる資産形成のヒントにぜひお役立てください。
世界に誇る日本のエンタメ株
日本のエンタメ株をまずご紹介いたします。
任天堂(Nintendo)
任天堂は日本が世界に誇るゲーム会社です。
発売から8年で累計1億5,000万台以上を売り上げた大ヒット家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の後継機として、待望の「スイッチ2」が2025年6月5日に発売予定です。
次世代機への期待も高く、現行以上の販売台数が見込まれています。
任天堂の強みは、ハード(ゲーム機)だけでなく自社で人気ゲームソフトを開発できることにあります。
マリオやゼルダといった世界的人気のゲームコンテンツ(知的財産)を多数持ち、子供から大人まで幅広い年代に親しまれる強力なブランドを築いてきました。1980年代のファミリーコンピュータ以来の長年の実績による信頼感もあり、不況時でも安定した業績が期待できる銘柄です。
バンダイナムコホールディングス
バンダイナムコホールディングスは、一見地味な社名ですが世界中にファンのいる有名コンテンツを数多く抱える企業です。
例えばアニメや漫画の『ガンダム』、『ワンピース』、『ドラゴンボール』といった人気キャラクターIP(知的財産)を保有しています。これらのコンテンツは海外でも支持が厚く、日本発のエンタメ文化として高い価値を持っています。
バンダイナムコホールディングスはこうしたIPを活用し、ゲーム・玩具・映像・テーマパークなど事業を多角展開しているのが特徴です。今年発売予定の任天堂「スイッチ2」向けにも新作ゲームを投入予定で、プラットフォームの盛り上がりによる恩恵も期待できます。
実際、国内に設置された実物大ガンダム立像は外国人観光客からも注目を集める名所になっており、コンテンツ力で世界を相手にビジネスを展開するバンダイナムコホールディングスの実力を物語っています。
ソニーグループ
ソニーグループは日本を代表するグローバル企業で、ゲームからエレクトロニクス、金融まで幅広い事業を持つコングロマリットです。
主力のゲーム事業では、最新の家庭用ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」が2020年の発売以来、世界中で順調に売れ続けています。PS5は発売から数年経た現在でも需要が高く、安定した収益源となっています。
またソニーはカメラやテレビといった電子機器の老舗メーカーでもあり、ロボット犬「aibo(アイボ)」などユニークな商品も手掛けています。
見えないところでは映画製作会社の買収や音楽著作権ビジネスにも力を入れており、例えばマイケル・ジャクソンの音楽カタログの一部を取得するなどエンターテインメント分野でも存在感を示しています。
このようにソニーはゲーム・映像・音楽と多角的にコンテンツを展開しつつ、世界的ブランド力も持つため、景気の変動にも比較的強い安定成長が期待できるでしょう。
バフェットも注目の高配当な商社株
続いて商社株のご紹介です。
三菱商事
総合商社は資源・エネルギー・食料など世界中で幅広いビジネスを展開し、投資会社・金融業の側面も持つ多機能な企業です。
こうしたビジネスモデルは世界経済が混乱しているときほど強みを発揮し、安定した収益を生み出せる傾向があります。実際、著名投資家ウォーレン・バフェット氏も日本の商社株に注目しており、近年三菱商事をはじめとする五大商社の株を大量に買い増ししています。
中でも三菱商事は五大商社の中で売上高がトップの業界最大手です。
2025年3月には新たな経営戦略を発表し、資本効率の向上や過去最大規模の投資計画など攻めの姿勢を打ち出しました。長期保有に適した安定性と成長戦略を併せ持つ本命株と言えるでしょう。バフェットのお墨付きという事実だけでも、大きな安心感があります。
双日
双日(そうじつ)は三菱商事などに比べると知名度こそ劣るものの、実は総合商社の中で配当利回りが最も高い高配当株です。
足元の配当利回りは5%前後と魅力的で、安定収入を得たい投資家にも人気があります。さらに航空機関連事業や医療分野に注力し、再生可能エネルギーや食料ビジネスにも積極展開するなど、新分野への挑戦で成長性も秘めています。
こうした取り組みから双日は徐々に評価が高まり、隠れた優良株として注目度が上がってきました。老舗の大手商社に比べ株価水準が割安である分、将来的な伸びしろも期待できる点で中長期投資に向いた銘柄と言えるでしょう。
※同じ三菱グループには日本最大のメガバンクである三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)も存在します。今回は金融株をメインテーマには挙げませんでしたが、三菱商事や三菱重工との連携によるグループシナジーも期待できる企業として、頭に入れておいて損はないでしょう。
政府の後押しで成長に期待の国策銘柄
三菱重工業
国策銘柄とは、その時々の国の政策によって追い風を受けやすい企業のことです。
現在の日本では、防衛力強化や宇宙産業の振興、エネルギー安全保障などが国家的な重点分野となっていますが、これら防衛・宇宙・エネルギーの3つ全てに関わる企業が三菱重工業です。
三菱重工は戦闘機や潜水艦といった防衛装備品、ロケット打ち上げなどの宇宙開発、発電プラントなどエネルギーインフラまで手掛ける日本屈指の重工業メーカーです。
地味な印象を持たれがちですが、高い技術力と実績があり、各分野で世界的シェアを持つ製品も有しています。
国策の追い風を直接受けられる超有力株であり、米国の同盟国に自前の防衛力増強を促す動き(いわゆる“自国で守れ”方針)など地政学リスクの高まりも、三菱重工のビジネスにはプラスに働く可能性があります。
また前述の三菱商事と同じ三菱グループの中核企業であり、商社の投資支援や銀行の融資などグループ内連携による相乗効果も期待できます。
国が本腰を入れて予算を投じる領域を担う企業ゆえ、中長期で安定した成長が見込めるでしょう。
金への分散投資
世界的な危機やインフレに強い安全資産として昔から金(ゴールド)が知られています。
株式市場や為替市場が不安定なとき、資金の逃避先として金の需要が高まり価格が上昇しやすい傾向があります。まさにポートフォリオのリスク分散に適した資産と言えるでしょう。
金そのものに投資する方法はいくつかありますが、金の延べ棒を買って自宅で保管するのは現実的ではありません。
そこで活用したいのが金価格連動型のETF(上場投資信託)です。ETFとは投資信託を株式市場で売買できる金融商品で、複数の資産をまとめてひとつのパッケージにしたファンドを株のように売買できます。手軽に少額から取引できるので、初心者にとっても分散投資の第一歩として利用しやすい点が魅力です。
具体的な金ETFとしては、世界最大級で流動性も高いSPDRゴールド・シェアがあります。これは金現物を保有する信託を通じて金価格に連動した値動きをするETFで、現物の金を自分で保管しなくても金に投資するのと同じ効果が得られます。
証券口座さえあれば株式と同じように売買できるため、いつでも市場価格で金の売買が可能です。
特に足元では金価格が上昇基調にあります。世界各地で紛争や地政学リスクが続き、景気先行きにも不透明感がある中、安全資産である金への需要が高まっているためです。
実際、中国やインドなど新興国による大口の金買いも取り沙汰されており、金相場は過去最高水準に迫る勢いです。こうした状況では、ポートフォリオの一部に金ETFを組み入れることで資産全体の値下がりリスクを和らげ、老後資産形成の守りを固める効果が期待できます。
戦略的な長期投資で資産形成を着実に
以上、荒れた相場でも注目の日本株7選(+資産防衛の金ETF)を4つのテーマに沿って紹介しました。
いずれの銘柄も「今だからこそ買える理由」があり、将来に向けた種まきになる有望株ばかりです。暴落局面では不安に駆られてしまいがちですが、慌てず冷静に、そして今回のように知識と戦略に基づいて銘柄選択をすることが大切です。
焦って売買を繰り返すのではなく、無理のない範囲でコツコツと長期的な視点で投資を続けることで、株式市場の回復局面では大きな差が生まれます。
一発逆転を狙うギャンブルではなく、配当や複利運用の力で資産をじっくり育てていくことこそが本当の資産形成と言えるでしょう。
ぜひこの機会にご自身のポートフォリオを見直し、NISA制度なども活用しながら、老後に向けた着実な資産づくりを進めてみてください。
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