バフェット式に選ぶ“日本で10年持ちたい株”7選

おすすめ銘柄

「この株、ずっと持っていたいな。」
投資の経験を重ねるうちに、そんなふうに思える株と出会うことが増えてきました。

「いつ買えばいい?」「いつ売るべき?」と目先の値動きばかりが気になっていた株式投資を始めたばかりの頃から考え方に変化があります。

実際、目先のニュースや株価の上下に一喜一憂せず、安心して長く持ち続けられる株こそ、投資の理想形かもしれません。
今回、「10年持ちたい」と思える日本株を、世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏の投資哲学をヒントに選んでみました。

バフェット流の選び方を学びながら、あなたの資産を守り育ててくれる「心強い銘柄」を一緒に探してみませんか?

ウォーレン・バフェットとは? 〜時代を超えて愛される投資家〜

ウォーレン・バフェット。
この名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

彼はアメリカのネブラスカ州オマハに居住していることから「オマハの賢人」とも呼ばれ、長期にわたって安定した成果を上げてきた、世界で最も有名な投資家のひとりです。
彼が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイは、アップルやコカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスなど、名だたる企業に投資を行い、大きな成功を収めてきました。

バフェット氏の投資スタイルは、一貫して「長期・堅実」
短期的なブームには流されず、「本当に価値のある企業を見極めて、じっくりと育てる」ことを大切にしてきました。

そんなバフェット氏は、2023年に日本の5大商社株への大型投資を発表し、日本市場への注目度が一気に高まりました。「日本にも10年、20年と持ちたい企業がある」──そう証明してくれたのです。

このバフェットの目線を借りて、今こそ、私たちの未来を託せる日本株を探してみましょう。

バフェット式投資の3つの原則

ウォーレン・バフェット氏の投資哲学は、一言でいえば「本質を見る目を持ち、長く付き合える企業を選ぶ」ことに尽きます。
彼が実践してきたスタイルは、株価が割安であると判断される銘柄に投資する手法、いわゆる「バリュー投資」と呼ばれるもので、一時的なブームや株価の上下に左右されない、堅実かつ知的な投資法です。

原則①「自分が理解できるビジネスに投資する」

バフェット氏は「よくわからないものには投資しない」という姿勢を貫いています。急成長するテクノロジー分野にも、仕組みが理解できないと判断すれば投資はしません。たとえば、彼はかつてITバブルの時代に多くの投資家が群がった中、慎重に静観する姿勢を貫いたことでバブル崩壊の影響を受けずに済みました。

これは、「地味でも堅実に利益を生む企業を、自分の目で理解して、信頼できるかどうか」で判断するということです。

原則②「長期的に競争優位性を保てる企業を選ぶ」

バフェット氏が好むのは、「堀(モート)」のある企業です。「堀(モート)」とは、持続可能な競争優位性、つまり他社が簡単に真似できないビジネスモデルやブランド力、特許技術などを持つ企業を意味します。コカ・コーラやアップルへの投資も、「他には代えがたい存在」だと判断したからこその選択でした。

日本企業でいえば、「特定分野で圧倒的シェアを持つ」「顧客からの信頼が厚い」「景気の波に強い」など、継続的に稼げる力を持つ企業がこの条件に当てはまります。

原則③「健全な財務体質と経営者の誠実さ」

もう一つ、見逃せないのが「人と数字」です。
バフェット氏はその企業のトップがどれだけ誠実で、株主と向き合っているかを重要視します。また、財務諸表をじっくり読み、借金に依存せず、安定したキャッシュフローを持つかどうかも確認します。
つまり、目先のトレンドよりも、地に足のついた経営をしているかどうか。そうした企業は、激動の時代でも持続的に成長する力を秘めています。

これが日本の“10年持ちたい株”7選

では、ここからはバフェット氏の「3つの原則」を参考に、選び出した日本株をご紹介します。
選定のポイントは、次の通りです。

  • ビジネスモデルが明快で、将来も必要とされる業種
  • 独自の強みを持ち、簡単には真似できない
  • 健全な財務体質

銘柄は業種が被らないように配慮し、バランスよく分散しています。
証券コード順に、以下の7銘柄を取り上げます。

■ 信越化学工業(4063)
中外製薬(4519)
日本製鉄(5401)
ジーエス・ユアサ(6674)
三井物産(8031)
東京センチュリー(8439)
三井住友トラスト・ホールディングス(8309)

なぜこの7社なのか?

■ 信越化学工業(4063)|次世代産業を支える“縁の下の力持ち”

信越化学工業は、シリコンウエハー塩化ビニル樹脂(PVC)で世界トップシェアを誇る日本の素材メーカーです。
特に半導体ウエハーでは、高品質かつ安定供給を武器に、グローバル半導体企業の信頼を一手に集めています。AIやEV、5Gなど成長分野において必須となる半導体。その根幹を支える同社の存在感は、今後さらに増していくでしょう。

財務面でも、自己資本比率は80%超、営業利益率は20%を超える年も多く、無借金経営を続ける堅牢な企業体質。バフェットが好む「わかりやすく、利益を安定して生み出す企業」という条件にぴったりです。

注目すべきは、グローバルな需要増加に応えるための生産能力増強。特に先端の半導体製造プロセスで広く採用されている300mmウエハーの高性能化・増産体制を強化しており、米中対立下でも供給網の要として国際的な信頼を勝ち取っています。
また、PVCについても、環境負荷の少ない製品開発を進めており、脱炭素社会における重要な素材サプライヤーとして、今後10年でさらに価値が高まることが予想されます。

Homepage_jp – 信越化学工業株式会社   ABOUT US信越化学について 企業情報COMPANY 社長メッセージ 会社概要 沿革 グローバルネットワ www.shinetsu.co.jp

■ 中外製薬(4519)|グローバル視点を持つ“未来型”製薬企業

中外製薬は、がんや免疫疾患に強みを持つバイオ医薬品のリーディングカンパニー。
スイスの製薬大手ロシュ社との戦略的提携により、革新的な新薬開発とグローバル展開を両立しています。特に自社開発の抗がん剤「アクテムラ」や「エンスプリング」は、世界中で使用されるなど、医薬の進化を体現する存在となっています。

同社の強みは、単なる国内製薬会社ではなく、世界市場で通用する開発力と知的財産を持っている点です。研究開発比率は15%を超え、収益の中から未来への投資をしっかりと行う体質ができています。

将来的には、バイオ医薬分野のグローバル需要がさらに拡大する中、中外製薬が持つ独自の技術力や提携力が新たな市場を切り開いていくことが期待されます。健康寿命延伸が社会課題となる日本においても、高齢化にともなう医療ニーズの中心を担う存在として、長期保有にふさわしい企業といえるでしょう。

中外製薬株式会社:創造で、想像を超える。 中外製薬は、独自の技術とサイエンスを強みとする、研究開発型の製薬企業です。ロシュ社との協業のもと、革新的な医薬品とサービス www.chugai-pharm.co.jp

■ 日本製鉄(5401)|伝統産業から「脱炭素の主役」へと進化

日本製鉄は、日本最大の鉄鋼メーカーであり、世界でもトップクラスの生産量を誇る総合鉄鋼企業です。
製鉄というと古い産業に見られがちですが、同社は次世代への転換に積極的。水素を使ったCO₂排出ゼロの「水素還元製鉄」や、電炉化の推進など、脱炭素に向けた大規模な設備投資を進めています。

その背景には、世界的な環境規制の強化があります。鉄鋼業はCO₂排出量が多い分野であり、環境対応できる企業ほど生き残れる構造になりつつあります。日本製鉄はここにチャンスを見出し、国際競争力と環境価値の両立を目指しています。

さらに、国内外の鉄鋼会社を買収・統合することでコスト競争力を強化し、景気の波にも耐える収益体制を整えています。鉄はインフラ、建設、自動車、エネルギーなど多くの産業の基盤。10年後もなくならない需要と、進化を続ける企業体質──。まさに長期保有にふさわしい「進化型レガシー企業」です。

日本製鉄 日本製鉄のオフィシャルサイトです。新日本製鉄と住友金属が統合して誕生した新日鉄住金は、2019年4月に商号を変更し、日本製 www.nipponsteel.com

■ ジーエス・ユアサ(6674)|EV時代を切り拓く「電池の頭脳」

ジーエス・ユアサは、自動車・産業用電池の国内大手であり、電動モビリティや再生可能エネルギー分野でも重要な役割を果たす企業です。
トヨタと提携して全固体電池の開発にも注力しており、EV(電気自動車)の普及が進む中、その技術力と実績はより高く評価されるようになっています。

車載用だけでなく、航空・鉄道・情報通信分野など社会インフラを支える蓄電システムにも強みを持ち、幅広い事業ポートフォリオが安定収益の土台となっています。また、再エネの普及に伴い、「電力の安定供給を担う蓄電池」は今後ますます不可欠な存在となるでしょう。

環境重視の社会において、「電池」はまさに心臓部。その供給力と開発力で、今後のグリーントランスフォーメーション(GX)社会の中核企業となるポテンシャルを秘めています。電池業界の“キープレイヤー”として、10年後もその存在感は一層増していることでしょう。

GSユアサ GSユアサのウェブサイトです。蓄電池、電源装置、照明機器およびその他の電気機器の事業を展開しています。 www.gs-yuasa.com

■ 三井物産(8031)|“攻め”の商社、バフェットも惚れた実力

総合商社の雄、三井物産。資源・エネルギー・インフラから食品・化学、そして最新のデジタル分野まで多角的な事業を展開しています。
そのバランスの良さとグローバルな機動力は他の商社を圧倒しており、2023年にはバフェット氏自身が大量保有していることで注目を浴びました。

特徴的なのは「攻めの戦略性」。M&Aやベンチャー投資を通じて次世代成長事業への種まきを積極的に行っており、海外では再エネ発電やスタートアップ支援など、先見性ある事業開発を続けています。さらに、ROEの高さ、増配傾向も魅力で、株主還元にも前向きな姿勢を貫いています。

短期トレード向きではなく、持つほどに味が出るのが商社株の面白さ。資源価格や為替の影響は受けますが、総合力と事業ポートフォリオの分散性により、長期的には高い成長性と安定性のバランスを実現している稀有な存在です。

三井物産株式会社 グローバル総合力企業を目指し、全世界に広がる営業拠点とネットワーク、情報力を活かし、各種事業を多角的に展開します。 – 三 www.mitsui.com

■ 東京センチュリー(8439)|リースの枠を超えた”変革型金融企業”

東京センチュリーは、単なるリース業から進化した「新時代の金融サービス企業」です。航空機、IT機器、再生可能エネルギー、自動車、ヘルスケアなど多様な分野でリース・ファイナンスを展開し、AI・DXとの融合を進める姿勢が注目されています。

特に環境分野での取り組みは先進的で、太陽光発電施設の所有やEVシェアリング事業なども手がけ、社会課題解決型のビジネスモデルへとシフトしています。これは「脱炭素×金融」という、次の時代のキーワードを先取りする動きと言えるでしょう。

収益の安定性に加え、ストック型の契約ベースでキャッシュフローも読みやすく、長期保有に安心感があります。新しい金融のカタチを追求する変革志向は、成熟業界にとどまらず飛躍のチャンスを呼び込む原動力です。

東京センチュリー株式会社 東京センチュリーは、リースを祖業とし、国内外のパートナー企業との共創による「金融×サービス×事業」を融合したビジネスモデル www.tokyocentury.co.jp

■ 三井住友トラスト・ホールディングス(8309)|信頼資本で成長する「お金の番人」

三井住友トラスト・ホールディングスは、信託銀行を中核に、不動産、資産運用、相続、年金など、多岐にわたる資産にまつわるサービスを提供する金融グループです。

少子高齢化が進む日本では、「財産の預け先・託し先」として信託の需要が急増しており、社会的役割も重要性を増しています。
同社の強みは、個人の資産形成支援から法人の事業承継まで、ライフステージに応じたサービスをワンストップで提供できること。金融の中でも、きわめて長期的視点が求められる領域において、経験と信頼を積み上げてきた歴史があります。

今後は、富裕層・高齢者向けの信託サービスや、ESG資産運用の拡大が成長ドライバーとなる見込みです。静かに、しかし確実に資産を増やしたいという投資家にとって、三井住友トラストはまさに「縁の下の資産形成パートナー」です。

三井住友トラストグループ|託された未来をひらく 三井住友トラストグループのホームページでは、会社概要、ニュースリリース、IR情報、株式情報のほか、経営戦略やサステナビリテ www.smtg.jp

まとめ:バフェットに学ぶ、これからの日本株投資

今回紹介した7銘柄は、それぞれが異なる業種ながら、共通して「長期にわたって競争力を維持し、安定的に収益を生み出せる力」を持っています。
バフェット氏が重視する「シンプルなビジネスモデル」「明確な強み」「健全な経営姿勢」は、どの企業にも見て取れるものです。

投資はギャンブルではありません。むしろ、「自分の人生をより自由に、豊かにするための手段」です。
目先の上下に振り回されず、10年先を見据えて信じて持ち続けられる企業を選ぶこと──それこそが、バフェット流の真髄であり、私たちにもできる投資の第一歩です。

あなたも、今日紹介した7つの企業の中に、自分の10年パートナーを見つけてみませんか?

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